大規模修繕工事の途中で施工業者が倒産したら?〜管理組合が直面するリスクと対策〜

大規模修繕工事中に業者が倒産⁉
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こんにちは!事務所が渋谷にある、渋谷貴博です。

35年間マンション業界で働いてきました。またプライベートでは、マンション(埼玉県さいたま市・総戸数812戸)に住んで、修繕委員、副理事長、理事長経験があります。そんな私が管理組合役員の皆さまの役に立つ情報を発信します。

今回は、マンション管理組合にとって、非常に重要なテーマである「大規模修繕工事中の施工業者の倒産リスク」について解説いたします。

マンションの大規模修繕工事は、長期的な資産価値の維持や住環境の改善のために、12〜15年に一度のペースで実施される大きなプロジェクトです。ところが、もし工事の途中で施工業者が倒産してしまったら、どのような影響があるのでしょうか?

今回は、想定されるトラブルや費用負担、管理組合が事前に取っておくべき対策などを、わかりやすくご紹介します。

倒産によって発生する主な問題点

1. 工事が中断し、スケジュールが大幅に遅延する

施工業者が倒産すると、現場の作業はストップします。作業員の撤収、資材の管理不備、工事車両の放置など、現場は混乱し、工期の見通しが立たなくなります。特に仮設足場の設置中や防水工事の途中などに倒産した場合、雨漏りや防犯面、安全面のリスクが高まることもあります。

2. すでに支払った費用が戻ってこない可能性

着手金や中間金として支払った費用のうち、完成している部分の費用については業者(倒産sている場合は業者の債権者など)が取得する権利がある一方、出来高より多く支払ったいわゆる「過払い費用」は倒産した業者の資産状況次第で、全額戻らないことがほとんどです。このように、工事の進捗・出来高より多い費用の支払い(過払い)をしていた場合、その損失は管理組合の「大きな負担」になります。

3. 新たな施工業者の選定・再契約が必要

倒産した施工業者に代わり残工事を施工する新たな施工業者(代替履行業者)を探す必要があり、再入札や協議、契約手続きが発生します。再契約には時間がかかり、追加費用も必要になる場合があります。しかも、引き継ぎ資料が不十分である場合、工事の再開が一層困難になります。

4. 瑕疵・アフターサービスの補償が受けられない可能性

工事の途中で施工業者が倒産した場合、完成している部分の施工品質に問題があっても、保証や補修を求める先がなくなる可能性があります。つまり、建物に欠陥が残ったままとなるリスクもあります。

倒産によって発生する主な問題点

実際にあった事例

ある分譲マンション(築30年・70戸)では、屋上防水工事と外壁補修を中心とした大規模修繕工事の途中で、施工業者が資金繰りの悪化により突然倒産しました。すでに契約金額の半分以上を支払い済みでした。

倒産から1ヶ月間は工事が完全に停止し、仮設足場は放置され、工事用の仮設足場もそのまま。住民の生活に支障が出るだけでなく、仮設足場から住宅内に侵入する防犯面のリスクや不安が高まりました。

その後、別の施工業者に依頼して工事を再開したものの、倒産した施工業者に工事の出来高より多く支払った費用(過払い金)は戻ってこず、さらに残工事の追加費用が800万円以上発生し、工事期間は当初予定より4ヶ月も長引きました。

管理組合が取るべき事前の備え

施工業者の倒産リスクをゼロにすることはできませんが、リスクに備える方法はあります。

1. 履行保証保険に加入してもらう

※履行保証保険とは、施工業者が倒産して契約不履行となった場合に、施工業者が管理組合に支払うべき違約金として、保険会社が管理組合に保険金支払いをする制度のことです(保険金額には上限や条件があります)。

工事請負契約と同時に施工業者がこの保険に加入しておくことで、万が一の際にも補償を受けながら工事を再開できます。今まで履行保証保険は、国や地方公共団体が発注する公共工事でしか使えませんでしたが、2022年に「大規模修繕工事向けの履行保証保険(保険会社:日新火災海上保険株式会社)」が商品化されました。事前に確認しておくと安心です。

2. 出来高より少ない費用の支払いを徹底し、過払いをしない

出来高より多い費用(過払い費用)を支払った場合、施工業者が倒産すると、その費用は戻ってこないことがほとんどとなります。そこで、①工事の進捗や出来高の確認をしっかり行うこと、②出来高より多い費用(過払い費用)を払わない支払い条件とすることで、万が一のリスクに備えられます。たとえば「①出来高20%時に90%分を翌々月末に支払う、②出来高50%時に、90%を翌々月末に支払う・・・」など、進捗に応じて出来高より少ない費用を支払う契約を組むことが有効です。

3. 経営状況の審査を行う

施工業者の財務内容や支払い能力を事前に調査することも、重要なリスク管理です。業者選定の段階で「決算報告書(貸借対照表・損益計算書)」などを提出させ、財務の健全性をチェックしましょう。前述の履行保証保険に加入できる施工業者は、事前に保険会社による経営状況の審査に合格していますので、一定のリスク対策となるでしょう。

4. 設計監理方式を採用する

※設計監理方式とは、第三者の設計事務所が設計・監理を担い、工事内容や品質を管理する方式のことです。

この方式を採用することで、工事の内容や進捗(出来高の把握等)に第三者の目が入るため、万が一のトラブルにも冷静に対応できます。また、代替履行業者選定時にも、技術的な引き継ぎがスムーズになります。

まとめ:万が一の「倒産」に備えることが大切

大規模修繕工事は、管理組合にとって非常に重要でかつ高額な費用がかかる大きな事業です。だからこそ、途中で施工業者が倒産した場合の影響は計り知れません。

  • 工事の中断と長期化
  • 過払い費用の損失や想定外の出費
  • 瑕疵保証の消失
  • 新たな業者選定の負担

これらのリスクを避けるためには、事前のリスクヘッジが欠かせません。履行保証保険への加入、出来高より少ない支払い条件の工夫、信頼できる業者選定といった対策を講じておくことで、万が一にも慌てることなく、管理組合と住民の安心を守ることができます。
「備えあれば憂いなし」。この言葉は、大規模修繕工事にもまさに当てはまります。

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