大規模修繕工事リスク管理の必須知識はこれだ!

大規模修繕工事のリスク管理策
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大規模修繕工事のリスク管理について

マンションの大規模修繕工事は、建物の寿命を延ばすために非常に重要な作業です。しかし、この工事には様々なリスクも伴います。それらのリスクには、建設業界が直面している2024年問題や職人不足の問題、帝国データバンクが指摘する建設業の倒産率の上昇傾向、適切な保険・保証制度への不備が含まれます。これらは、管理組合が予期せぬ高額の工事費やトラブル対応費用を負担するリスクにつながります。

したがって、これらの問題への適切な備えには専門的な知識と情報が必要です。設計事務所、マンション管理士、管理会社は工事の技術的側面や管理組合運営には精通していますが、保険・保証や施工業者の経営状況の評価に関しては専門外であることが多いです。この記事では、マンションの大規模修繕工事におけるそれらのリスク管理策について詳しく解説します。

まず、大規模修繕工事において施工業者が加入すべき保険と保証に関して説明します。これらの制度は、工事中に生じる可能性のある多様なトラブルから管理組合や住民を守るために重要です。しかし、設計事務所やマンション管理士がこれらの保険・保証制度について詳しくない場合があります。本稿では、これらの保険・保証制度が工事に関連するリスクからどのように保護するかについて解説します。

大規模修繕工事で施工業者が加入すべき保険とは

工事保険(請負業者賠償責任保険、生産物賠償責任保険など)は、工事中または工事後に工事に起因する事故や損害をカバーする保険です。例えば、工事中に外壁のタイルが剥がれ落ちる、水漏れが発生するなどの事態が起こり、その結果、人が怪我をしたり、物が破損したり、住宅内で水漏れが発生したりした場合、この保険が適用されます。施工業者は、この保険金を使用して、怪我の補償、破損した物の修理、住宅内の内装復旧作業などを行い、損害を賠償します。施工業者が適切な保険に加入していない場合、損害賠償が「お金がないために行えない」という状況になり得るため、被害者が適正な補償を受けられなくなるリスクが生じます。

完成保証(履行保証保険を含む)とは、大規模修繕工事が施工業者の倒産により工事が中断された場合に、管理組合が工事を予定通りに完了させるために、工事会社が加入などする保険・保証制度です。管理組合が工事を再開し完了させるには、様々な費用が発生するため、こうした状況に備えて一定の保険金又は保証金が提供される仕組みが多いです。最近では、当センターと日新火災が共同開発した「履行保証保険」という保険制度もその一つです。他にも業界団体による完成保証制度や同業の施工業者が完成保証をする工事完成保証人など、多様な保険・保証制度が存在します。

しかし、これらの完成保証制度や工事完成保証人のしくみは、保険制度とは異なります。団体や施工業者が保証主体となるため、管理組合は保証内容その他を事前にしっかり確認する必要があります。重要な確認事項には以下の三点があります。

  1. 金銭保証の詳細と保証金額
  2. 保証を提供する団体や企業が保証に必要な資金をどの程度準備しているか
  3. 保証提供者が経営破綻した際の救済措置

これら保証内容を管理組合が簡単に確認するために、当センターのウェブサイトから「保証内容のチェックリスト」として無料で資料ダウンロードが可能です。こちらのリンクから「その他」のセクションを参照し、「完成保証等の保証内容のチェックリスト」をご利用ください。これらの対策を講じて、万が一のリスクに備えることが重要です。

瑕疵保険(大規模修繕工事瑕疵保険)は、工事完了後に発見される欠陥(瑕疵)・施工ミスに関する保険です。例えば、工事が原因で発生した屋上防水層からの漏水、外壁の著しいひび割れや配管の問題がある場合、この保険が適用され、瑕疵部分の補修費用が施工業者に保険金として支払われます。これにより、施工業者は保険金を利用して瑕疵の適切な補修を行うことができます。さらに、補修が必要な時点で施工業者が倒産していた場合でも、管理組合に直接保険金が支払われることになります。そのため、瑕疵の補修が実施可能となります。

上記3つの保険・保証制度は施工業者が加入します。しかし、施工業者が適切な保険・保証制度に加入しているケースは意外と少ないのです。

大規模修繕工事で保険・保証制度への加入が進まない理由

大規模修繕工事には数千万円から数億円もの高額な費用がかかり、工事に起因して工事中、工事後にトラブルが発生することがあります。万が一問題が発生した場合、管理組合は想定外の費用を負担しなければならないリスクが出てきます。修繕積立金から資金を捻出しなければならなくなり、将来の修繕工事に必要な貯蓄が不足したり、住民からの追加徴収が必要になったりすることがあり、管理組合や住民の財政に大きな影響を及ぼす可能性があります。そこで、施工業者がこれらの保険・保証制度に適切に加入していれば、管理組合や住民は金銭的なリスクから保護されます。では、なぜ大規模修繕工事でこれらの保険・保証制度への加入が進まないのでしょうか?

一因として、業界関係者の専門知識不足が挙げられます。設計事務所やマンション管理士、管理会社は建築や管理運営には精通していますが、保険・保証制度の知識が不足している場合があります。また、これらの制度を十分に理解し、詳細にアドバイスできる専門家が少ないことも一因です(マンションあんしんセンターでは無料で管理組合様に保険・保証制度に関しわかりやすくアドバイスをしています。まずはホームページをご覧ください)。

加えて、保険や保証制度への関心の低さが問題です。適切な情報の入手も難しくなり、業界関係者や管理組合において理解が進まないこととなってしまいます。施工業者にとっては、保険や保証制度への加入は追加コストとなるため、施工業者が節約を理由に加入しないケースがあります。また、設計事務所やマンション管理士、管理会社の中には、「保険や保証制度を必要ではない。」と誤解している場合があります。

管理組合は、これらの保険や保証に関して専門知識を持つ専門家に相談することが推奨されます。また、管理組合は、施工業者に対して完成保証(履行保証保険含む)や瑕疵保険への加入を積極的にリクエストすることをお勧めします。この二つの保険・保証制度は、工事案件ごとに施工業者が加入する必要がありますが、加入は任意となるため、管理組合から保険・保証制度への加入をリクエストしないと、施工業者は自主的に加入しないことになります。そこで、施工業者選びの入札条件に「完成保証(履行保証保険含む)や瑕疵保険へ加入すること」と明記することをお勧めします。

大規模修繕工事の「保険・保証制度の費用負担は誰が担うのか?」

「保険・保証制度の費用負担は誰が担うのか?」という疑問について説明します。これらの保険や保証に関する費用は一般的にどのように処理されるのか整理します。

工事保険、完成保証(履行保証保険等)、瑕疵保険は、施工業者が申し込み手続きを行い、保険料等を負担します。これらの保険や保証制度は、上記で説明したように、工事に伴うリスクを軽減するために設計されており、施工業者が加入することで、万一のトラブルに備えられるようになっています。

そうは言っても、保険や保証制度の保険料等は原則として施工業者が支払うものですが、これらのコストは最終的に大規模修繕工事の工事総額に関連経費として組み入れられるため、間接的には管理組合がこれを負担する形になります。管理組合は、リスクに対処するためにこれらの費用を負担する必要性があると認識し、計画的に予算を組むことをお勧めします。ちなみに、完成保証(履行保証保険等)と瑕疵保険の保険料等は、通常、工事費総額(税込)の約0.5%程度であり、これは比較的小さな額です。トラブルが生じた際に数百万円から数千万円の追加費用が発生する可能性を考慮すれば、これらの保険料等は合理的な投資と言えるでしょう。

施工業者の倒産リスクに対する対策を考えることは、マンション管理組合にとって重要です。新聞やニュースで公表されるように、建設業の倒産件数が増加している現状は、管理組合が大規模修繕工事を計画する際に深刻な懸念事項となります。倒産のリスクは市場環境の変化、資金繰りの問題、コストの上昇、競争の激化、管理の不備、および技術の進化に遅れることなど、多様な要因によって生じます。これらを踏まえ、管理組合は信頼できる施工業者を選定すること、完成保証や瑕疵保険への加入を積極的にリクエストすること、専門家と連携して適切なアドバイスを受けること、そして工事費用の支払い条件を慎重に設定することが推奨されます。

さらに、2024年問題への対応として、管理組合は労働環境の改善に伴う工期の延長、コスト増加、品質低下といった潜在的な問題に備える必要があります。これにより、工事の進行中に発生する可能性のある様々な課題に効果的に対処し、最終的に住民の利益を保護することができるようになります。適切な準備と対策を通じて、管理組合は大規模修繕工事に関連するリスクを最小限に抑え、工事の成功を確実なものとすることが可能です。

最後に、これら様々な状況に関し管理組合・理事会は、定期的な住民説明会を開催し、わかりやすく住民に説明を行い、理解してもらうことが重要です。計画的な準備と適切な住民への説明により、住民の理解と協力を得ることは、今後数十年に及ぶ長期間の修繕積立金の貯蓄や大規模修繕工事の適正な実施に必要な要素となります。

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