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大規模修繕工事、「修繕」と「改修」の違いとは?

大規模修繕工事「修繕」と「改修」の違いとは
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大規模修繕工事、「修繕」について

大規模修繕工事では、似て非なる「修繕」と「改修」という二つの工事の種類があります。これらは似ている言葉ゆえに、しばしば混同されがちですが、本質的には違うものです。

まず「修繕」について見てみましょう。「修繕」とは主に建物の劣化や老朽化部分を修復し、「元の性能や状態まで回復させること」を目的とした工事です。いわゆる大規模修繕工事といえばこの「修繕」がメインとなります。
例えば、外壁の塗装やひび割れの修復、古くなった設備の交換(従前と同等品レベルへ)などがこれにあたります。

「修繕」の一例として、どのマンションでも12~15年おきにほぼ確実に実施される「外壁改修工事」と「屋上防水工事」について詳しく説明します。

「外壁改修工事」について

(1)塗装工事:外壁の塗装は、建物の美観を保つだけでなく、建物を雨風や紫外線から守る役割もあります。その塗装工事は、①既存塗装の剥離:塗装が剥がれている部分や、塗膜が劣化している部分は、専用道具で徹底的に剥がします。これにより新しい塗料が均一に塗られ、塗装ムラや剥がれを防ぎます。その後、壁面にクラックや穴、剥がれなどのダメージがあれば、これを補修します。補修にはパテやシーリング材が使われ、これで壁面が均一な状態になり、塗料の密着性が向上します。②下塗り:壁面補修後、塗装の密着性を高めるために下塗りを行います。下塗りは、塗装の寿命を延ばし、色の発色を良くします。中塗り:下塗りの後、色をつけるための中塗りを行います。中塗りは塗装の厚みを出し、外壁を保護する役割も果たします。上塗り:最後に、上塗りを行います。上塗りは塗装の仕上がりの色を確定し、光沢感を出します。また、塗装の耐候性を高める役割も果たします。

(2)ひび補修 : 外壁にひび割れが発生すると、雨水が浸入し建物内部へ雨漏りを引き起こす可能性があります。建物の骨格となる鉄筋コンクリートの劣化を早めることにもつながるため、しっかりしたメンテナンスが必要です。具体的には、まずひび割れの状況を確認します。ひび割れの深さや長さ、幅によって補修の方法や必要な材料が異なります。また、ひび割れが表面的なものであるか、構造体にまで及んでいるかなども確認します。①準備:ひび割れの周囲の塗装を剥がし、補修材がしっかりと定着するようにします。また、ひび割れ自体も広げて補修材がしっかり入るようにします。②補修:ひび割れを広げ、補修材を充填します。補修材はひび割れにしっかりと密着し、雨水の浸入を防ぐ役割を果たします。③仕上げ:補修材が乾燥したら、表面をサンディングして滑らかにします。その後、塗料を塗ります。

(3)タイル補修:タイル張りの外壁では、経年劣化によりタイルが浮いたり、剥がれたりすることがあります。タイルが落下して人や物にあたりケガや損壊などの大事故を招いてしまう危険性があります。そこで剥がれる危険性のあるタイルは張替えします。浮いたタイルは、再度接着剤で固定し、剥がれて落ちない安全な状態に修復します。

「屋上防水工事」について

次に、「屋上防水工事」の具体的な方法について説明します。前項の外壁以上に屋上の防水層は日光や雨風による影響を受けており、劣化の度合いや進行が早いです。屋上防水工事は、一般的なものとして、既存の防水層の上に新たな防水層を被せる工事(被せ工法)が一般的です。しかし、防水層が著しく劣化している場合などは、全面的な防水層の撤去を行う工事が必要になることもあります。これら修繕工事を行った後、一般的に約5年後には、防水性能等を低下させないために「トップコート(保護塗装)」を施すことも必要な作業となります。

これらの外壁改修工事や屋上防水工事を適切に行うことで、建物外部面の耐久性や防水性を高めることができ、美観も含め建物の価値を長期的に維持し、安全性や資産性を高めることができます。このように、「修繕」は大規模修繕工事の基本と言っても過言ではありません。適切にスケジューリングし、適切なタイミングで施行することが重要です。

大規模修繕工事、「改修」について

「改修」は、既存の「機能を強化」したり、「新たな機能を追加したりする工事」を指します。つまり、「建物や設備の性能を元の状態以上に引き上げること」(プラスα工事)が「改修」となります。

外壁では、断熱材を追加することで、建物の熱効率を向上させることができます。冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内環境を保つことができ冷暖房費も節約できて省エネとなります。その他外壁材の変更として、材料を石やタイルなどに変更することで、建物の外観イメージを大きく変えることができます。

屋上改修:代表的なものとして屋上緑化があります。「ヒートアイランド現象緩和」や「低炭素化」などのメリットがあります。また「屋上の耐熱性の向上」も効果があります。さらに、屋上デッキの設置もあります。屋上にデッキやテラスを設置することで、居住者に新たな利用空間を提供します。その他今後はエネルギー対策として電力自給化に向けて太陽光発電システムの設置もあるでしょう。

「設備」の改修は、建物の価値を高める重要な要素です。具体的には、(1)エレベーターの改修です。最新型エレベーターへの交換があります。①エレベーター内のデザインや照明、ボタン操作のしやすさが格段にアップします。②静粛・スピード運転や、地震対策などが施され、安全と快適性を備えた改修となります。(2)給排水管:老朽化した配管の交換は、日常生活における水回りのあらゆるストレスが軽減され快適な生活が生まれます。(3)電気設備:ブレーカーの更新・容量アップ、配線の見直しや配電盤の交換などが行われます。(4)ガス設備の改修では、ガス管やガスメーターの更新などがあります。他にも、換気設備や防火設備の改修などがあります。

「改修」は、既存の「機能を強化」したり、「新たな機能を追加したりする工事」を指します

上記以外に、①共用廊下・共用階段:照明を「LED照明」などの省エネ・長寿命型への更新。②住戸のサッシ交換で断熱性や防音性を向上させる。また防犯性を高めるために強化ガラスや防犯フィルムを使用したガラスに交換する。③玄関ドア:防犯や耐震性の高いドアへ交換する。④エントランス・段差部分の解消やサイン計画の充実化など、ユニバーサルデザインを採用し、車椅子利用者や高齢者、子供の利便性を向上させることも効果があります。⑤防犯カメラの設置や駐車場・駐輪場代理口のガード設置でセキュリティ強化も図れます。

大規模修繕工事は、単に建物の状態を維持する「修繕」だけでなく、さまざまな「改修」により建物の価値を高め、住みやすさを改善する大きなチャンスです。「改修」がもたらす効果を理解し、適切な工事を選択することで、建物の質を向上させることができます。つまり、「修繕」に比べ「改修」は資産価値向上に大きく影響する工事とも言えるでしょう。

「修繕」は「建物や設備を元の状態に回復させるために必須な工事」(必須工事)であり、費用も比較的安定しています。一方「改修」は性能の向上や新たな機能の追加を目指すため、そのコストは工事の内容により、大きな金額となる可能性があり未知数です(プラスα工事)。そこで、大規模修繕工事を計画する際には、管理組合内で十分に建物の現状や今後の利用計画、そして予算等を考慮しつつ、どの程度「修繕」に重きを置き、どの程度「改修」に取り組むべきかを決定することが必要です。これにより、より効率的で適切な大規模修繕工事の計画を策定することが可能となります。

例えば、①建物が古く、頻繁に故障や損傷が発生しているマンションでは、まずは「修繕」に重きを置くことが求められます。これにより、建物の安全性や利用性を確保し、突発的なトラブルや費用の発生を防ぐことができます。一方、②建物の基本的な機能は十分に保たれているが、新たな需要や環境の変化に対応が必要なマンションでは、「改修」による機能の強化や最新化が必要となる場合もあります。そして、これらを実現するためにも、計画検討時から「設計監理方式」を採用することで、建築士が管理組合のニーズや予算に合わせて、最適な大規模修繕工事を提案します。「修繕」と「改修」の適切なバランスを見つけることで、建物の価値を高め、長期的な運用コストを削減することができます。

参考文献:国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」
https://www.mlit.go.jp/common/001064898.pdf

参考文献:マンション管理センター「令和4年度 分譲マンション共用部分の改良工事等に対する助成金(全国版)」
https://www.mankan.or.jp/08_reformloan/publicsupport.html

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