マンション修繕費指数2025年度版の動向と背景を徹底解説

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こんにちは!事務所が渋谷にある、渋谷貴博です。
私は35年間マンション業界で働いてきました。またプライベートでは、マンション(埼玉県さいたま市・総戸数812戸)に住んで、修繕委員、副理事長、理事長経験があります。そんな私が管理組合役員の皆さまの役に立つ情報を発信します。

このたび、一般財団法人経済調査会(本部:東京都港区、理事長:森北佳昭)は、過去12年間のマンション大規模修繕工事費の推移を指数化した「マンション修繕指数」を新たに作成し、同会ホームページ「積算資料ポケット版WEB」で9月4日より公開を開始しました。

本指数は、民間のマンション大規模修繕工事費の動向把握や主要工事費の水準チェックの参考データとして、マンション修繕に携わる方々に活用してもらうことを目的としています。

【積算資料ポケット版WEB】URLはコチラから
https://www.pocket-ban.com/costindex/mansion/

マンション修繕費指数とは

「マンション修繕指数」は、民間のマンション1棟あたりの大規模修繕工事における修繕費について、その変動を総合的に捉えることを目的とした指数です。調査年次から過去2年以内に施工されたマンションの大規模修繕工事において、マンション修繕事業者などの受注者が管理組合(注文者)へ定時する成約時見積書を集計・分析し、大規模修繕に係る費用の総額とその内訳である主要な工事別費用を指数化しています。単なる数字の羅列ではなく、修繕費の時系列的な推移や工事費用構成の変化を「見える化」することによって、長期修繕計画の見直しや予算シミュレーションに役立つ資料となっているのが特徴です。

マンションの大規模修繕は、通常12〜15年を目安に繰り返し行われるため、工事費の水準を客観的に把握することは、理事会や管理組合にとって必須の課題です。積立金が不足するリスクを早めに察知するためにも、この修繕費指数が果たす役割は極めて大きいといえるでしょう。

修繕費の推移と急激な上昇

2013年に基準値100として調査が始まった当初、一戸あたりの修繕費は93.5万円でした。その後は緩やかな上昇傾向を示し、2019年から2023年にかけては年平均で約2%程度の増加にとどまっていました。しかし2023年に129.9万円、2025年には150.6万円へと急騰し、わずか2年間で約16%もの上昇を記録しました。指数で見ても138.9から161.1へと22ポイント以上の伸びを示し、過去最大の上げ幅を記録しています。

この背景には、建設資材価格の高騰や人手不足による人件費上昇等があると考えられ、マンション修繕工事においても、物価高の影響が顕在化しています。

この数値は単なる統計的な増加にとどまらず、実際に管理組合が直面する資金繰りに直結します。当初想定していた総工事費が大きく跳ね上がる可能性があるということです。従来の修繕積立金水準では到底まかなえず、追加徴収や長期借入が必要になるケースも出てくるでしょう。

工事項目ごとの変化とその意味

工事費の中でも特に増加が著しいのは仮設工事と防水工事です。仮設工事は、工事を行うための足場や仮囲い、養生などにかかる費用を指します。2025年度には前回調査から約29ポイントの増加を示しており、全体の23.5%を占めるまでになりました。その背景には、アスベスト対策の強化があります。法改正により石綿含有建材の有無を調査し、除去・封じ込めなどの安全対策を行う必要があるため、仮設段階から従来以上の費用が発生しているのです。

防水工事もまた26ポイントの大幅な増加となりました。屋上やバルコニー、共用廊下などに施工される防水層は建物の劣化を防ぐ重要な役割を果たしますが、ここでも材料価格の高騰が直撃しています。さらに、耐用年数20年以上の高耐久ウレタン材やシート防水の採用が進み、初期費用が割高になる傾向が強まっています。短期的には負担増となる一方で、長期的には修繕周期の延長につながり、将来のコスト抑制に貢献するという複雑な側面を持っています。

躯体や外装工事に関しても、塗料価格の値上げや施工技術者の人件費上昇により費用増加が続いています。外壁塗装は建物の景観維持だけでなく、劣化防止や防水性確保の意味も大きく、必ず実施すべき工事項目です。その費用が上がれば、工事全体の総額をさらに押し上げることになります。

工事費の中でも特に増加が著しいのは仮設工事と防水工事です。

修繕費高騰をもたらす社会的要因

修繕費指数の急騰の背景には、いくつもの社会的要因が重なっています。第一に、資材価格の高騰です。世界的な需要増や原油価格の変動、物流コスト上昇が相まって、鉄鋼や塗料、防水材といった主要資材の価格が上がり続けています。第二に、建設業界の慢性的な人手不足による人件費の高騰があります。技能労働者の高齢化が進み、若手の担い手が減少する中で、熟練工の賃金は右肩上がりとなり、工事費の大きな部分を占めています。第三に、法規制の強化も見逃せません。特にアスベスト関連の規制は、施工前の調査・除去・処理に大きなコストを要するようになりました。

加えて、建物の長寿命化を目指した高性能材料の普及も、当面の工事費増加に拍車をかけています。従来の材料に比べて単価が高いため、修繕費総額が上昇する一方、修繕周期を延ばすことで長期的にはコストを削減できるという構図になっています。

管理組合に求められる対応

こうした状況を踏まえると、管理組合には従来以上に戦略的な対応が求められます。まず、長期修繕計画を定期的に見直し、最新の修繕費指数を反映させることが欠かせません。積立金の不足が予測される場合は、早期に修繕積立金の増額や金融機関からの借入を検討し、住民への説明責任を果たす必要があります。また、工事の際には設計監理方式を採用し、複数の施工業者から適正な見積を取り寄せることで、不透明な費用増を抑えることができます。

さらに、修繕周期の延長を視野に入れた計画を立てることも重要です。高耐久材を採用すると「短期的な負担は大きくても、将来的な修繕回数を減らすことで、トータルでのコスト削減を実現できる可能性があります。」と推奨する業界関係者もいますが、当センターは高耐久材でなくても一般の防水材を使用して工事品質を高めること、さらには工事後一定期間後に保護塗装を施すことによって防水材の耐用年数は20年以上となると考えています。安易に高耐久材を採用するのではなく、一般的な材料を使用した修繕周期の長期化について真剣に考える時がきていると思われます。

当センターブログ「修繕周期を延ばして修繕積立金を有効活用する大規模修繕工事」を参考にしてください。                                   

まとめ

マンション修繕費指数2025年度版が示す数値は、管理組合にとって大きな警鐘といえるものです。わずか数年でこれほど急激に修繕費が増加する状況は過去に例がなく、今後も資材や人件費の上昇が続けば、さらなる費用負担がのしかかる可能性があります。だからこそ、最新のデータに基づいた計画的な対応が不可欠です。修繕積立金の適正化、工事方式の工夫、長期的視点に立った素材選びなど、複数の施策を組み合わせて初めて、住民にとって安心できる修繕体制が実現します。

マンションは管理を買えといわれるほど、維持管理の巧拙が資産価値に直結します。修繕費指数を正しく理解し、先を見据えた判断を行うことが、これからのマンション経営にとって何よりも大切なポイントになるでしょう。

また、万全の工事とするためには、最低限のリスク対策が必要です。施工業者の倒産、工事後の瑕疵・不具合の発生の対策です。そのためには、施工業者が加入する「履行保証保険」「瑕疵保険」を活用することをお薦めします。施工業者選定の入札条件には「履行保証保険、瑕疵保険に加入すること」としっかり記入して、リスク対策の保険への加入リクエストをしましょう。

「履行保証保険」「瑕疵保険」に関する詳細はコチラ↓ ↓ ↓                                         https://mansion-anshin.com/system/

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