こんにちは!事務所が渋谷にある、渋谷貴博です。
私は35年間マンション業界で働いてきました。またプライベートでは、埼玉県さいたま市の総戸数812戸のマンションに住んで、修繕委員、副理事長、理事長経験があります。そんな私が管理組合役員の皆さまの役に立つ情報を発信します。
大規模修繕工事は、マンションの建物維持管理の中でも最も重要かつ高額なプロジェクトです。
適切な施工業者を選ばなければ、工事の質やスケジュール、住民満足度にまで影響を及ぼすことになり、場合によっては資産価値を損なうことにもつながります。
この記事では、「大規模修繕工事 業者」というキーワードで検索している管理組合の皆さまに向けて、施工業者の選び方に失敗しないための考え方と具体的な探し方をわかりやすくご紹介します。初めての方にも読みやすいよう、専門用語の補足も加えていますので、ぜひ参考になさってください。
大規模修繕工事とは?
なぜ12~15年周期で工事が必要になるのか
大規模修繕工事とは、マンションの共用部分に対して、外壁塗装、防水処理、鉄部の塗装、給排水設備の更新・更生などを定期的に行うものです。
建物は年月とともに劣化していきますが、その劣化を放置すれば、雨漏りやひび割れ、配管の破損などの重大な問題を引き起こし、マンション生活に支障をきたしてしまったり、修繕費がかえって高額になるおそれがあります。
そのため、一般的には12~15年を目安に、予防的な意味で全体を一斉に修繕することが推奨されています。これが「大規模修繕工事」です。
施工業者の力量で結果が大きく変わる理由
こうした大規模修繕工事の成否は、実際に施工を担当する業者の技術力や誠実さに大きく左右されます。
経験が不足していたり、見積に曖昧な点が多かったりする業者に依頼してしまうと、工事の品質が低下するだけでなく、トラブルや追加費用の発生といった問題にもつながりかねません。
最悪の場合、施工中に業者が倒産してしまうケースすら存在します。こうしたリスクを避けるには、信頼できる業者をどうやって見つけるかが非常に重要なのです。
インターネット検索を過信しないことが第一歩
「大規模修繕工事 業者」での検索結果には落とし穴も
インターネットで「大規模修繕工事 業者」と検索すると、膨大な数の情報が出てきます。施工業者のホームページや比較サイト、一括見積サービスなど多種多様ですが、その中には広告出稿で上位表示されているだけの業者や、実績が乏しい業者も含まれています。
もちろん、検索結果に表示されること自体は有用ですが、「上に出てきたから信頼できる」と思い込むのは危険です。あくまで参考情報の一つとして捉え、より確実な情報源と併用するのが賢明です。
第三者機関や設計事務所の情報を活用する
インターネット検索だけでなく、専門機関の提供する信頼性の高い情報も活用しましょう。
たとえば「一般社団法人マンションあんしんセンター」では、履行保証保険(※施工業者が倒産しても工事が再開・完成できるよう保険金で一定補償する制度)に加入するための保険会社の厳しい審査を通過した業者の情報をホームぺージで公開しています。(参考ページ名:修繕工事会社のご紹介)
「修繕工事会社のご紹介」はコチラから→https://mansion-anshin.com/repair-company/
これにより、一定の信頼性が担保された業者をスムーズに見つけることが可能になります。
また、設計監理方式を採用している場合は、設計事務所が中立的な立場で信頼できる業者を推薦してくれるケースも多くあります。
設計と施工が分離されていることで、工事内容のチェックや業者との交渉も公平に行われ、結果的に工事の質を高めることができます。

信頼できる施工業者を見抜くためのポイント
経営状態・保証制度・施工実績をしっかり確認
業者の信頼性を判断するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
まず確認したいのが「経営の安定性」です。工事途中で倒産してしまえば、工事は止まり、管理組合に多大な負担がかかります。そのため、履行保証保険※に加入している業者を選ぶことで、万が一のリスクに備えることができます。
※国や地方公共団体が発注者となる公共工事では、工事中の業者倒産に備えて、第三者による請負工事の履行保証を手配すること履行保証保険に加入する等)が一般的ですが、これまで民間工事においては、公共工事同様の保険による仕組み・制度は広く提供されてきませんでした。この状況を受け、日新火災海上保険(株)と(一社)マンションあんしんセンターは2022年10月に大規模修繕工事向けの履行保証保険を共同開発しました。(https://mansion-anshin.com/system/)
また、「過去の施工実績」も重要です。同規模・同種のマンションで修繕経験があるかを確認し、可能であれば現地を見学したり、管理組合の評判をヒアリングすることもおすすめです。
施工内容だけでなく、現場の安全対策や住民対応への配慮がなされているかなども、業者の姿勢を測る重要な材料となります。
担当者の説明力・人柄・住民対応も評価基準に
技術力や経営状態だけでなく、現場の担当者の対応力も評価の対象です。
大規模修繕工事は数か月にわたる長期工事になるため、住民とのコミュニケーションは避けて通れません。掲示板での告知、住民説明会での質疑応答、苦情対応など、現場担当者の力量が問われる場面が数多く存在します。
理事会や修繕委員会での打ち合わせの中で、質問に対して曖昧な返答しかできない業者や、住民に対して横柄な態度をとる担当者は避けるべきです。
丁寧で分かりやすい説明ができ、誠実な対応が取れるかどうかも、信頼性を測る大事なポイントです。
業者選定の具体的な進め方
相見積もりと評価基準の明確化が成功のカギ
大規模修繕工事の業者選定では、必ず複数の業者から見積を取り、内容を比較する「相見積もり」を実施しましょう。理想は3〜5社程度です。できれば、建通新聞やマンション管理新聞などの業界専門誌の公募欄を利用して広く入札参加する業者を募ることをおすすめします。
その際、単に「価格が安いかどうか」だけで判断してはいけません。工事項目ごとの単価、仕様、数量が詳細に書かれているか、必要な仮設工事や共用部対策が含まれているか、などをチェックしてください。
加えて、事前に理事会や修繕委員会で「評価基準」を決めておくことも重要です。たとえば、以下のような観点で点数化して比較すると客観的に判断しやすくなります。
- 工事価格の妥当性
- 過去の実績と規模
- 担当者の対応力
- 各種保険、保証制度の加入有無
- 工期や施工体制の柔軟性
選定結果の説明と住民への透明性も忘れずに
施工業者が決まったあとは、必ず住民説明会を開き、選定理由や工事内容をわかりやすく説明しましょう。この説明会で納得を得られないと、後々の工事に対して不満やクレームが出てしまう可能性があります。
住民にとっても、どのような基準で業者が選ばれたのかを理解できれば、安心して工事を任せられるようになりますし、工事への協力姿勢も高まります。選定過程の透明性こそが、成功の第一歩です。
まとめ|「大規模修繕工事 業者」で検索する前に考えるべきこと
大規模修繕工事は、マンションにとって最も重要な共同事業のひとつです。
施工業者をインターネット検索で探すことは入り口としては有効ですが、最終的には信頼性・実績・対応力・保証制度など、複数の観点から冷静に判断することが求められます。
「大規模修繕工事 業者」というキーワードで検索する方にとって本当に大切なのは、「検索のその先」にある適正な選定プロセスと情報の正確性です。
後悔のない大規模修繕工事のために、安易に決めず、慎重に、そして正しく業者を選びましょう。
あなたのマンションの未来を守るのは、「業者検索」から始まります。
業者の情報はコチラから→https://mansion-anshin.com/repair-company/
※マンションあんしんセンター「修繕工事会社のご紹介」ページ
