管理組合が失敗しない、管理会社との賢い付き合い方

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修繕工事を成功に導く設計士の役割と重要性とは?

管理組合の立場に寄り添い、修繕工事をスムーズに進める設計事務所の役割は非常に重要です。修繕工事は建物の価値を維持し、住民の安全や快適な生活環境を守る上で欠かせない取り組みですが、専門的な知識と経験が求められる領域でもあります。以下のような業務は、修繕工事に精通した設計士でなければ、適切に遂行することが難しいものです。

  • 建物の劣化診断
    修繕工事の最初のステップとなるのが、建物の劣化診断です。この診断は、建物全体の現状を正確に把握し、どの部分にどの程度の修繕が必要かを明確にするために行われます。具体的には、外壁や屋根、配管、設備など、目に見える部分から目に見えにくい箇所まで、経年劣化や使用状況、さらには周辺環境の影響などを総合的に評価します。劣化診断には、専門的な知識や経験が欠かせません。例えば、表面的に問題がないように見える箇所でも、内部で劣化が進行している場合があります。そのため、専門家による細部まで行き届いた診断が重要です。この段階で診断が不十分だと、修繕工事の計画そのものが的外れになり、結果的に建物の価値を守るどころか、さらなる損害を招くリスクもあります。
  • 修繕工事の計画立案
    劣化診断の結果を基に、修繕工事の計画を立てることは、建物の維持管理において極めて重要なプロセスです。修繕計画では、まず劣化の深刻度に基づいて優先順位をつけることが求められます。これにより、限られた予算内で効果的に工事を進めることが可能になります。さらに、コストやスケジュールだけでなく、建物全体のバランスや長期的な視点を取り入れることも必要です。たとえば、一部の修繕を後回しにすることで、他の箇所の劣化が加速する可能性があるため、計画は慎重に練られるべきです。また、計画には管理組合の意向を反映させ、住民全体が納得できる形で進めることも重要です。この段階で設計士が適切なアドバイスを行うことで、無駄を省いた実効性の高い計画が実現します。
  • 工事会社選定のサポート
    修繕工事を成功に導くためには、適切な工事会社の選定が欠かせません。工事会社選定の際には、候補となる業者の過去実績や技術力、費用面を慎重に比較・評価する必要があります。特に、工事の品質やコストパフォーマンスは、建物の維持管理に大きく影響を与えるため、公正かつ透明な選定プロセスを確保することが重要です。設計士はこのプロセスで、専門知識を活かして管理組合に的確な助言を行います。適切な工事会社を選ぶことにより、施工の質が向上し、予期せぬトラブルの発生リスクが低減します。また、選定の際には、工事会社とのコミュニケーションをスムーズに進めるための調整役としても設計士は重要な役割を果たします。
  • 工事中の現場検査
    工事が計画通りに進行しているかを確認する現場検査は、修繕工事の品質を保証するための重要なプロセスです。設計士が現場を定期的に訪問し、施工が仕様通り行われているか、必要な材料が正しく使用されているかをチェックします。このような検査により、施工段階でのミスや手抜き工事を未然に防ぐことが可能です。現場検査の際には、施工状況の記録や、管理組合への報告も行われます。これにより、管理組合は工事の進捗状況を把握しやすくなり、住民に対する説明責任を果たす際にも役立ちます。また、施工中に予期せぬ問題が発生した場合でも、設計士が即座に対応策を提案することで、スムーズな解決が図れます。
  • 工事完了時の確認およびアフターフォロー
    工事が完了した際には、設計士が最終的な確認を行い、修繕の成果を管理組合に説明します。この確認作業では、設計図や仕様書に基づいて、工事が適切に実施されたかを厳密にチェックします。また、施工後に不具合が発生した場合に備えて、アフターフォロー体制を整えることも設計士の重要な役割です。アフターフォローでは、問題が発生した際の迅速な対応はもちろんのこと、将来的な維持管理に関するアドバイスも行われます。このようなサポートがあることで、管理組合や住民は安心して修繕後の生活を送ることができます。
  • 長期修繕計画の修正
    修繕工事が完了した後も、建物の維持管理は継続して行われる必要があります。そのためには、長期修繕計画を定期的に見直し、最新の建物状況に合わせて更新することが求められます。修繕計画を修正する際には、今回の工事で得られたデータや、将来的な劣化の予測を基に計画を最適化します。これにより、次回以降の修繕工事がより計画的に進められるだけでなく、管理組合が資金を効率的に運用することが可能になります。また、長期修繕計画の修正を通じて、住民が建物の将来について具体的なイメージを持てるようになり、管理運営への理解と協力も深まります。

法的には、一級建築士資格を持たなくてもこれらの業務を担当することは可能です。しかし、一級建築士資格を有する設計士によるサポートは、より高い信頼性と安心感をもたらします。資格を有する設計士は、高度な専門知識と豊富な経験を活かして、適切で効果的な提案を行うことができ、管理組合にとって大きな支えとなるでしょう。

管理会社との付き合い方

修繕工事は管理会社だけに頼らない!新しい進め方の提案

管理業務を委託している管理会社は、日常的にマンションの状況を把握しているため、修繕工事のサポートや工事そのものを発注するケースがこれまで多く見られました。管理会社は管理組合との関係が密接で、物件の細かな状況や住民の声も把握しているため、修繕工事を円滑に進める役割を期待されてきました。かつては、管理組合も「工事費用は割高になるかもしれないが、管理会社に発注すれば、工事後の不具合や瑕疵が発生した際、下請け業者に適切に指示を出して対応してもらえるだろう」と考える傾向が強かったようです。管理会社との長年の信頼関係があればこそ、このような依頼方法が広く受け入れられていました。

しかし最近では、状況が大きく変化しています。管理会社が管理業務委託契約の更新を拒絶するケースが増加し、管理組合と管理会社との長期的な関係が維持されない可能性が高まっています。これは、労働力不足や業界全体の構造変化に起因している部分もありますが、こうした背景から、工事後の不具合対応に支障をきたすリスクが懸念されています。仮に管理会社との関係が急激に変化すれば、それまで築いてきた友好な関係が断絶し、工事後のサポートが受けられなくなる可能性も否定できません。

このような状況では、従来通りの発注方法に頼るのではなく、新たな進め方を検討することが必要です。まず、管理会社には「修繕工事のサポート役」という立場を明確にし、工事そのものの発注は別途外部の設計士や施工会社に委託する形が適切です。管理会社には、これまでの業務で得たマンションの詳細な情報や住民からの意見を共有してもらい、その情報を基に修繕工事を進める形が望ましいでしょう。

修繕工事の進行にあたっては、外部の設計士を入札で選定することが重要です。入札を通じて透明性を確保し、不適切なコンサルタントや利害関係によるトラブルを未然に防ぐことが求められます。設計士の選定にあたっては、経験や実績、信頼性を十分に評価し、管理組合が納得のいく形で決定することが必要です。

また、工事会社の選定も管理組合が主導で行うことが求められます。選定権限を設計士や管理会社に委ねると、バックマージンなどの不透明な取引が発生するリスクが高まるため、管理組合が主導権を握ることで、公正で信頼性の高い選定プロセスを確保することができます。修繕工事においては設計士、日常的な管理運営についてはマンション管理士など、専門分野の異なるプロフェッショナルの力を借りながら進める体制が、管理組合にとって理想的な形です。それぞれの専門家から適切なアドバイスを受けることで、管理運営や修繕工事の質を向上させることができます。

一方で、マンション管理業界全体には深刻な課題が存在しています。高齢化や若い世代の流入不足、世代交代の遅れといった問題が顕在化しており、これにより管理組合を支援する専門家が大幅に不足する可能性があります。こうした状況が改善されなければ、業界全体が機能不全に陥り、住民の生活環境や建物の維持管理が大きく損なわれる恐れがあります。

このような課題を解決するためには、修繕工事に特化した設計士や、管理組合を支えるマンション管理士の育成・確保が不可欠です。さらに、業界全体の魅力を高め、働きがいのある環境を提供することも急務です。専門家が安心して長く活躍できる業界環境を整えることで、管理組合へのサポート体制が強化され、結果として住民の生活の質も向上するでしょう。

修繕工事と管理運営の両面において、適切な専門家のサポートを受けられる体制を構築することは、マンション管理業界の未来を守るための重要な取り組みです。この第一歩として、専門性の高い人材を増やし、管理組合が信頼できるパートナーを持てる環境づくりが求められています。

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