こんにちは!事務所が渋谷にある、渋谷貴博です。
私は35年間マンション業界で働いてきました。またプライベートでは、マンション(埼玉県さいたま市・総戸数812戸)に住んで、修繕委員、副理事長、理事長経験があります。そんな私が管理組合役員の皆さまの役に立つ情報を発信します。
マンション管理組合の見直しでここまで変わるコスト削減:マンション管理費の増加が管理組合の課題になっている
近年、多くのマンション管理組合で大きな問題となっているのが、管理費や修繕積立金の不足です。マンションの維持管理にかかる費用は年々増加しており、これまでと同じ管理運営を続けているだけでは将来的に資金不足に陥る可能性が高くなっています。
その背景には、建設資材価格の高騰や人件費の上昇、さらには火災保険料の値上げなど、さまざまな要因があります。特にマンション共用部の火災保険料はここ数年で大幅に上昇しており、管理組合の財政を圧迫する要因の一つになっています。また、管理会社への委託費や設備の維持管理費なども徐々に増加しているため、管理費だけでこれらを賄うことが難しくなっているマンションも増えてきています。
その結果、管理費や修繕積立金の値上げを検討する管理組合も増えてきました。しかし、住民の高齢化が進むマンションでは、管理費や積立金の値上げは簡単には受け入れられないケースも多く、管理組合としては慎重な対応が求められます。
一方で、マンションの支出を見直すことで、年間数百万円規模のコスト削減に成功している管理組合も存在します。今回は、実際に年間約500万円の管理費削減に成功したマンションの事例を紹介し、どのような取り組みが行われたのかを詳しく解説します。
マンション管理費や修繕積立金の課題は、個別のマンションだけの問題ではありません。国土交通省も、マンションの管理状況や管理組合運営の実態に関する調査結果を公表していますので、あわせて参考にしてみてください。
《参考》国土交通省「令和5年度マンション総合調査の結果について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001752287.pdf
事例マンションの概要:築30年の中規模マンションで始まった管理費見直し
今回紹介するマンションは、首都圏にある中規模マンションです。築年数は30年で、総戸数は90戸、エレベーターが2基設置されている一般的な都市型マンションです。また、機械式駐車場を備えており、管理方式は管理会社へ全面的に委託する「全部委託管理方式」が採用されていました。
このマンションでは、長年にわたり同じ管理会社や設備会社と契約を継続しており、契約内容の見直しがほとんど行われていませんでした。そのため、管理費の支出が徐々に増加し、将来的には修繕積立金の不足や管理費の値上げが必要になる可能性が指摘されていました。
そこで管理組合では、マンションの将来を見据えた財政健全化の取り組みとして、管理費の支出を全面的に見直すプロジェクトを開始しました。その結果、複数の契約や支出項目を見直すことで、年間約500万円のコスト削減を実現することができました。
共用部火災保険の見直しによる大幅削減:補償内容の適正化で保険料を大きく削減
今回の見直しの中で最も大きな削減効果が出たのが、共用部火災保険の見直しでした。このマンションでは長年同じ保険契約を継続しており、保険内容の見直しがほとんど行われていませんでした。その結果、実際の建物価値よりも高い保険金額が設定されていたり、必要以上に手厚い補償内容になっていたりするなど、保険料が割高になっている状況でした。
管理組合では、まず現在の保険内容を詳細に確認し、建物の再調達価格や補償内容が適正かどうかを検討しました。そのうえで、保険金額の適正化や免責金額の設定などを行い、さらに複数の保険会社から見積もりを取得しました。
その結果、補償内容を大きく変えることなく保険料を大幅に削減することができ、年間約180万円のコスト削減につながりました。近年は火災保険料の値上がりが続いていますが、補償内容を適正化することで大きな節約になるケースは少なくありません。
管理委託費の見直しによるコスト削減:管理業務内容の整理と再交渉
次に大きな削減効果があったのが、管理会社への管理委託費の見直しです。マンション管理費の中でも管理委託費は大きな割合を占めるため、見直しによる効果が出やすい項目です。
このマンションでは長年同じ管理会社と契約していましたが、契約内容を詳しく確認すると、業務内容の重複や過剰な管理体制が見受けられました。特に管理員の勤務時間や業務内容については、現在のマンションの利用状況に対して過剰になっている部分がありました。
そこで管理組合では、管理仕様書を見直し、必要な業務とそうでない業務を整理しました。そのうえで管理会社と再交渉を行い、管理員の勤務時間の適正化や業務内容の整理を行いました。
その結果、年間約120万円の管理委託費削減を実現することができました。
エレベーター保守契約の見直し:メーカー系から独立系保守会社へ変更
エレベーターの保守費用も見直し対象となりました。このマンションでは従来、エレベーターメーカー系の保守会社と契約していましたが、契約内容を確認すると保守費用が比較的高額になっていることが分かりました。
そこで管理組合では、複数の保守会社から見積もりを取得し、独立系保守会社の提案内容を検討しました。結果として、保守内容に大きな違いがないことが確認できたため、契約を独立系保守会社に変更しました。
この変更により、年間約80万円のコスト削減を実現しました。エレベーター保守費は契約内容や会社によって価格差が大きくなることがあるため、定期的な見直しが重要です。

共用部電気代の削減:LED照明導入と電力会社変更の効果
共用部の電気代も見直しの対象となりました。マンションでは廊下や駐車場、エントランスなどの照明が常時点灯しているため、電気代が大きな支出になっています。
このマンションでは、まず電力会社を見直し、より安価な電力契約へ変更しました。さらに共用部照明をLED照明へ交換する工事を実施しました。LED照明は消費電力が少なく寿命も長いため、電気代だけでなく電球交換費用の削減にもつながります。その結果、このマンションでは年間約60万円の電気代削減を実現しました。
機械式駐車場の維持費見直し:利用率低下に合わせた設備運用
このマンションでは機械式駐車場の利用率が低下しており、空き区画が増えていました。それにもかかわらず、設備の維持管理費は従来通り発生していました。
そこで管理組合では、利用率の低い設備の一部を停止し、メンテナンス費用を削減しました。この見直しにより、年間約40万円の維持費削減を実現しました。
植栽管理費の見直し:作業内容の適正化によるコスト削減
植栽管理についても契約内容を見直しました。従来は剪定回数が多く、必要以上に管理費がかかっている状況でした。
そこで作業内容を見直し、剪定回数や作業範囲を適正化しました。その結果、年間約20万円のコスト削減となりました。
削減した資金の活用:修繕積立金の充実につながった
今回の見直しにより、このマンションでは年間約500万円のコスト削減を実現しました。削減された資金は、将来の大規模修繕工事に備えるため、修繕積立金に充当されています。
これにより、将来的に予定されている外壁修繕や屋上防水工事などに対して、資金不足のリスクを減らすことができました。
まとめ:管理組合の見直しでマンション経営は改善できる
マンション管理組合の支出は、長年同じ契約を続けているケースが多く、定期的に見直すことで大きなコスト削減につながることがあります。今回紹介したマンションでは、火災保険、管理委託費、エレベーター保守費、電気代などを見直すことで年間約500万円の削減を実現しました。
このような取り組みは、管理費値上げの回避や修繕積立金不足の解消にもつながります。管理組合では、定期的に支出を見直し、マンションの将来を見据えた健全な運営を行うことが重要です。





