こんにちは!事務所が渋谷にある、渋谷貴博です。
私は35年間マンション業界で働いてきました。またプライベートでは、マンション(埼玉県さいたま市・総戸数812戸)に住んで、修繕委員、副理事長、理事長経験があります。そんな私が管理組合役員の皆さまの役に立つ情報を発信します。
マンションでの暮らしは、単に自宅の快適さだけではなく、住民同士のつながりや信頼関係も大きな要素になります。特に、管理組合の活動においては、建物の管理や修繕だけでなく「コミュニティづくり」も大切な役割の一つです。
この記事では、マンション管理組合が担うコミュニティ活動の意義や具体例、成功のポイントについてご紹介します。
1. コミュニティ活動の目的とは?
マンションは、見ず知らずの人が一つの建物の中で生活を共にする「小さな社会」です。その中で、住民同士の関係が希薄なままでは、建物の維持管理が十分にできなくなったり、トラブルが起きた際の解決が難しくなったり、防災意識が低下したりする恐れがあります。
コミュニティ活動の主な目的は、以下のような点にあります。
- 住民間の交流促進による信頼関係の構築
- 防災・防犯体制の強化
- 孤独死や高齢者の見守り体制の支援
- 管理組合運営への協力体制づくり
つまり、良好な人間関係を築くことが、住みやすさや安心感につながるのです。
2. 実際に行われているコミュニティ活動の例
多くの管理組合では、以下のような活動が実施されています。
◆ 懇親会・交流イベント
年に1〜2回、集会室や中庭などでバーベキューやお花見、餅つき大会、クリスマス会などを開催し、世代を超えた交流の場をつくります。
◆ 清掃・美化活動の共同実施
年に数回、共用部や敷地内の清掃を住民と一緒に行い、美化意識とともに連帯感を高めます。
◆ 防災訓練・勉強会
地震や火災を想定した避難訓練を定期的に実施したり、防災用品のチェック・配布会などを通じて、災害時の協力体制を構築します。
◆ 子ども向けイベント
子育て世代の交流を目的に、鯉のぼりや七夕飾り、クリスマスツリー設置などを実施することで、子ども同士や保護者同士のつながりが生まれます。
◆ 趣味サークルやクラブ活動
ペットクラブ、読書会、ウォーキングサークルなど、共通の関心ごとを通じた住民同士の交流が長く続くケースもあります。
3. コミュニティ活動の効果とメリット
管理組合が主体となってコミュニティ活動を行うことには、多くのメリットがあります。
- 理事会・総会の参加率が上がる
顔の見える関係になることで、関心が高まり、管理運営に協力的になります。 - 住民間トラブルの予防になる
相手を知っていることで、苦情や注意も柔らかく伝えやすくなり、トラブルの深刻化を防げます。 - 住民の安心感が高まる
特に高齢者や一人暮らし世帯にとって、「困ったときに助け合える関係」があることは大きな安心です。 - 資産価値の向上にも寄与
住民同士の関係性やマンションの雰囲気は、購入希望者にも伝わる要素です。結果的に資産価値を支えることにもつながります。

4. 活動を始める際のポイント
◆ 小さく始めること
最初から大規模なイベントを企画する必要はありません。ゴミ拾いや小さな集まりから始め、徐々に規模を広げていくとよいでしょう。
◆ 全員参加を強制しない
参加を義務にしてしまうと反発が起こりがちです。あくまで「参加したい人が楽しめる場」として運営することがポイントです。
◆ 理事会やコミュニティ委員会の立ち上げ
住民有志によるコミュニティ委員会などを設置すれば、継続的な活動につながりやすくなります。
◆ 情報発信を丁寧に
掲示板やLINEグループ、回覧などを使って、活動内容を丁寧に発信し、参加を呼びかけましょう。
5. 最近の傾向と課題
近年では、防災・防犯目的をきっかけにコミュニティ活動を始める管理組合が増えています。また、高齢化が進む中で、孤立防止や介護予防としての意義も注目されています。
一方で、次のような課題も存在します。
- 担い手の不足や固定化
- 活動の継続性の難しさ
- 無関心層との温度差
- 自治会活動とのすみ分け
これらを乗り越えるためにも、「楽しさ」「メリット」「つながり」を感じられる活動設計が重要になります。
まとめ
マンション管理組合にとって、コミュニティ活動は単なる「おまけ」ではありません。住民同士の信頼と協力が、日々の暮らしを安心で快適なものにし、建物の維持管理にも好影響を与えます。
最初は数人の小さな輪からでもかまいません。気軽にできるところから始めて、住民みんなが「このマンションに住んでいてよかった」と思えるようなコミュニティを目指しましょう。
