この内容は、マンションに住んでいる場合を想定しています。
今回は、事前に発生することが予測できる災害の対策例です。具体的には、大地震など突然発生する災害と異なり、気象予報などで事前に情報を入手することができるものです。
増える自然災害への備えは?
前回もお話ししましたように、災害への対策は大きく3つのタイミングにわかれます。
①事前にできること
②災害発生中にすること
③災害の後の避難生活他など
それぞれのタイミングにおける対策や備えをしておきましょう。
マンションの場合、「専有部分で起こることは、区分所有者が対応する」、「共用部分で起こることは、管理組合が対応する」と、区分けされます。
特に管理組合は、区分所有者の安全確保義務を負うと言われています。共用部分の災害対策や区分所有者への連絡案内など、適切に行いましょう。
2.予測ができる災害の対策例
(1)大型台風
・大雨被害(車が浸水、地下や低地に雨水が流入)
①地下や低地などから、できるだけ高い場所へ移動する。※半地下や1階住戸の場合は住戸内に浸水・浸入するリスクがあるため、事前に避難が必要です。区分所有者だけでなく、管理組合として、低層住戸のリスク対策として避難方法を考えておく必要があります。
②車も前項同様に高い場所に移動することをお薦めします。また運転も控えましょう。※敷地内駐車場が地下や低地の駐車位置の場合、事前に敷地外の高台にある時間貸し駐車場に移動しておくなどお薦めします。(違法駐車は絶対にしないでください。)
③地下や建物内へ雨水が流入しないように止水板や土のう、簡易水防の設置をする。※管理組合が対応してください。マンション改良工事で万全の備えをすることも今後は必要です。
④共用部の電気設備などの機能は水害を受けない場所へ移設など対策する。※管理組合が対応してください。
・強風で転倒、飛散物でケガ、家屋が損傷
①できるだけ外出は控える。※個人だけでなく、管理組合からマンション敷地内・周辺で起こる事故の注意喚起も行うとベストですね。
②住宅などの強風対策を行う。(屋根・外壁・窓等の開口部の補強)※専有部分は区分所有者、共用部分は管理組合が対策を進めてください。
③家の外に置いてあるものは室内に入れる。※住戸のバルコニーは区分所有者、その他共用部分は管理組合が対策を進めてください。
・倒木、電柱が倒れ→停電など
①防災グッズ(ライト、電池、ラジオ、充電器・他)の準備を事前に行う。※区分所有者自身と管理組合ともに連携して準備・確認することをお薦めします。
②日頃から、老朽化している敷地内外の電柱・電線の補修を電力会社などに依頼しておく。※管理組合がマンション内外の施設チェックを行いましょう。
③電柱などが倒れて被害を受ける危険性がある場合は安全な場所へ避難する。※管理組合がマンション内外の施設チェックを行い、対策が間に合わない場合は区分所有者に避難指示など安全の確保を実施してください。
・交通網のマヒ(マンション外を想定していますので個人ごとに対応してください)
①気象情報を確認し、行動計画を立てる。原則は不要不急の外出・移動は控える。
②台風直撃前に移動して、用事を済ませておく。
(2)大量の降雨(線状降水帯など雨雲が長時間とどまり大量の降雨をもたらすもの)
(1)大型台風の大雨被害(車が浸水、地下や低地に雨水が流入)とほぼ同じです。しかし、大型台風よりも降水量が多い可能性があるため、より一層の備えをすることをお薦めします。
・土砂災害(土石流含む)
線状降水帯による大量の降水量になると、大型台風以上の水害が発生します。その一つが土砂災害です。場合によっては山が崩壊することもあります。山間部や傾斜地のマンションは、こういった土砂災害の対策を行いましょう。
イ.傾斜地の地盤の強度や土砂災害の可能性について、行政や専門家に相談し、必要に応じて傾斜部分の補強工事を実施するなど、対策に向けて取り組みを進めましょう。(傾斜部分がマンション敷地内、外で対応が変わってきます。)
ロ.前項イ.の対策ができない、さらに傾斜地等に至近な場合はリスクが非常に高いため、マンション全体での避難計画を立ておくことが重要です。
ハ.前項ロ.までのリスクがない場合は、万が一に備え、傾斜地側の通路、廊下などの共用部分に土砂等が流れ込む場合の想定や、低層階の住戸の避難対策は検討されることをお薦めします。
・河川崩壊で街が大洪水(濁流になり河川上流から大木や大石が流れ込む場合も、さらに水位3m以上などで家屋が流されてしまったり、水没の場合も)
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(1)大型台風の大雨被害(車が浸水、地下や低地に雨水が流入)とほぼ同じです。しかし、大型台風よりも降水量が多い可能性があるため、より一層の備えをすることをお薦めします。
・交通網のマヒ(マンション外を想定していますので個人ごとに
対応してください)
①気象情報を確認し、行動計画を立てる。原則は不要不急の外出・移動は控える。
②大雨となる前に移動して、用事を済ませておく。
この他にも、様々な自然災害はありますが、今回はこの内容に絞って検討してみました。また、今住んでいる地域(広い範囲で)が災害リスクが高い場合は、リスクが低い地域へ住み替えをするという対策もあります。
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渋谷貴博(しぶや たかひろ)
マンションあんしんセンター(MAC)
https://mass.liblo.jp/
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