こんにちは!マンションあんしんセンターの渋谷貴博です。
2021年12月9日の日経新聞に「マンション積立金『先手』で増額」という記事が掲載されました。この内容を見て、「自分たちのマンションも早急に修繕積立金を増額しないといけないのか?」と悩まれている管理組合の方も多いのではないでしょうか。
最近では、修繕積立金の値上げや長期修繕計画の見直しに関する情報がインターネット上でも多く見受けられますが、こういった情報に急かされることなく、冷静な判断を下すことが非常に重要です。この記事では、修繕積立金やマンション管理に関して、どのように冷静で計画的な対応を取るべきか、その方法について解説します。
修繕積立金の見直し、まずは冷静に判断を
最近のニュースや情報では、修繕積立金の増額や長期修繕計画の見直しが大きく取り上げられています。特に、国土交通省が発表したガイドラインの改訂が焦点となっており、「すぐに対応しなければならない」と感じてしまう管理組合の方も多いでしょう。しかし、重要なのは急いで対応を取るのではなく、まずは自分たちのマンションの実態をしっかりと把握し、適切な計画を立てることです。
ガイドラインは参考にすべき情報ではありますが、それだけを頼りに急いで決定を下すことは避けるべきです。最も大切なのは、自分たちのマンションの具体的な現状を理解し、その上で、管理組合全員で共有しながら計画を進めることです。
修繕積立金の増額は本当に必要か?
修繕積立金の増額については、まずはマンションの状態をしっかりと把握することが最初のステップです。これには、建物の劣化状況や今後の修繕計画を基に判断する必要があります。例えば、定期点検の結果や過去の修繕履歴を確認し、どの部分に修繕が必要なのか、また、どのタイミングで工事を行うべきかを明確にしましょう。こうしたデータをもとにして、積立金の増額が本当に必要かどうかを冷静に検討することが大切です。
たとえば、他のマンションで積立金の増額が行われているからといって、自分たちも同じように増額すべきかどうかは慎重に考えるべきです。マンションごとに建物の状態や住民の状況、将来的な修繕計画は異なるため、外部の情報に左右されず、まずは自分たちのマンションの実態をしっかり理解することが重要です。
管理会社への相談で現状を把握する
積立金や修繕計画を見直す際には、まず管理会社に相談してマンションの状態を確認することが有効です。管理会社はマンションの定期的な点検結果や劣化状況を把握しているため、簡易無料点検などを依頼し、プロの目線でのアドバイスを受けることができます。これにより、修繕の必要性や修繕の優先順位を把握することができます。
管理会社が技術的に優れていれば、具体的かつ信頼できるアドバイスをもらえるでしょう。また、これを通じて管理会社の実力や対応力を評価する機会にもなります。しかし、ここで注意しなければならないのは、管理会社の意見だけを鵜呑みにするのではなく、複数の意見を取り入れて総合的に判断することです。管理会社は利益を優先する場合もあるため、必要以上に高額な提案をしてくる可能性もあるためです。
複数の専門家の意見を取り入れることが重要
セカンドオピニオンを活用することは、冷静かつ客観的な判断を下すために非常に重要です。
私自身も、建物診断や修繕に関しては専門家ではないため、ひとつの意見や情報だけで判断するのは難しいと感じることが多々あります。そのため、複数の専門家の意見を集めて、総合的な視点から検討することが大切です。
例えば、管理会社だけでなく、建物診断の専門家や修繕の第三者アドバイザーからも意見をもらうことで、より正確でバランスの取れた判断ができるようになります。特に大規模修繕のようにマンションの将来を左右する重要な決定は、慎重な比較検討が求められます。
信頼できる専門家や団体に相談する
複数の意見を取り入れるためには、信頼できる専門家や団体に相談することが必要です。以下は、マンションの劣化状況や修繕計画について適切なアドバイスを得られる機関の一例です。
- マンション管理業協会
- マンション管理センター
- 住まいるダイヤル
- 日本マンション管理士会
- マンションリフォーム技術協会
- リニューアル技術開発協会
これらの機関では、簡易相談やアドバイスを無料で提供しているところもあります。まずは、こうした団体に問い合わせて、専門的なアドバイスを受けることが効果的です。
住民全員の理解を得るためのプロセスを大切に
積立金や修繕計画の見直しを行う際には、住民全員の合意を得ることが重要です。特に積立金の増額や大規模修繕の計画は、長期的な財政計画に関わるため、住民の意見を十分に取り入れることが必要です。
住民の意見を取り入れるプロセスを透明に進めることで、今後のマンション運営がスムーズになります。十分な説明と合意を得たうえで進めることで、後々のトラブルを防ぐこともできます。
計画的な対応で最適な選択を
最後に、マンションの修繕や積立金の増額については、焦らず、冷静で計画的な対応が重要です。世間の報道や情報に惑わされることなく、管理組合としての責任ある判断を行うためには、十分な情報を集め、慎重に比較検討を行うことが必要です。
今回のコラムが少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。冷静に、そして住民全員の理解を得て、計画を進めていきましょう。