こんにちは!事務所が渋谷にある、渋谷貴博です。
私は35年間マンション業界で働いてきました。またプライベートでは、マンション(埼玉県さいたま市・総戸数812戸)に住んで、修繕委員、副理事長、理事長経験があります。そんな私が管理組合役員の皆さまの役に立つ情報を発信します。
マンション生活に関わると、よく耳にするのが「管理組合」と「自治会」という二つの言葉。でも、似ているようで実はまったく役割が違うことをご存知でしょうか?今回は、この2つの組織の違いについて、わかりやすくご説明します。
1.結論:管理組合と自治会は「法的な役割」と「参加の自由度」が大きく違う!
まず結論からお伝えすると、管理組合は「マンション(建物)の維持管理を行う法的な組織」で、全区分所有者が加入必須です。一方、自治会は「マンション内及び地域コミュニティ活動を行う任意団体」で、加入は自由です。
この違いを理解しておくことは、マンション内での役割分担やトラブル防止のためにもとても大切です。
2.管理組合とは?~マンションの管理・修繕を行う法定組織~
●法律に基づいた組織
管理組合は、区分所有法という法律に基づいて、自動的に組織されるものです。マンションを購入して区分所有者(=部屋のオーナー)になると、必ず管理組合の構成員になります。
※区分所有法:マンションのような区分所有建物の管理や共有部分について定めた法律です。
●主な役割
- 建物の維持管理(共用部の修繕、清掃、保守点検など)
- 管理費・修繕積立金の会計管理
- 管理規約や使用細則の制定・改正
- 大規模修繕工事の企画・実施
- 管理会社や修繕業者との契約・交渉
これらの業務を、理事会(理事長、副理事長、理事など)が中心となって進めていきます。
3.自治会とは?~地域の交流や防災を担う任意団体~
●加入は自由
一方の自治会は、法律に基づく組織ではありません。マンション内および地域のつながりや防災活動を目的とした任意団体で、加入するかどうかは各住民の自由です。
マンション内に自治会があるケースや、地域全体でひとつの自治会を形成している場合もあります。
●主な活動内容
- マンション内および地域の清掃や美化運動
- 防災訓練や避難マップの配布
- 各種イベント(夏祭り・防犯パトロール)
- 回覧板など地域情報の共有
- 自治体との連携(自治会費の取りまとめなど)
自治会は、「住民同士のつながりを深める」ことが大きな目的となっています。

4.よくある誤解:管理組合と自治会は同じもの?
よくあるご相談の一つに、「管理組合が自治会の仕事もしているのですが、それって普通ですか?」という声があります。
たしかに、小規模なマンションや入居者の入れ替えが少ない場合は、両者の役割が曖昧になりがちです。しかし、本来はまったく別の組織です。
特に重要なのは、管理組合の会計と自治会の会計は必ず分けるべきということです。例えば、修繕積立金を使って地域の祭りを開催してしまうと、会計上の問題が発生します。
5.それぞれの役割を正しく理解して協力体制を築こう!
管理組合はマンションの「建物と財産を守る」組織、自治会はマンション内および地域の「暮らしと人のつながりを守る」組織です。
両者がしっかりと役割を分担しつつ、必要な部分では連携することが理想です。例えば、以下のような協力体制が考えられます。
内 容 | 担当主体 | 備 考 |
共用部の修繕・清掃 | 管理組合 | 法定業務 |
夏祭りの開催 | 自治会 | 任意の行事 |
防災訓練の実施 | 両者協力 | 住民の安全確保が目的 |
防犯灯の設置依頼 | 自治会 | 行政と連携 |
管理費の徴収・会計管理 | 管理組合 | 義務的経費 |
6.まとめ:住まいを守る「管理組合」、地域をつなぐ「自治会」
マンションに住んでいると、「建物をきちんと管理したい」「近所と仲良く暮らしたい」という両方の願いが出てきます。そんな時、それぞれの役割を担う管理組合と自治会の存在を正しく理解しておくことが大切です。
- 管理組合:マンションの管理・修繕を担う法定組織。全員加入が義務。
- 自治会:地域住民の交流や防災を目的とする任意団体。加入は自由。
- 会計や役割の線引きを明確にすることでトラブルを防止できる。
住民同士が気持ちよく暮らしていくためには、「管理組合と自治会は違う。でも両方大事」という認識を持って、それぞれの活動を支えていくことが求められます。
