マンション購入者に必須の基礎知識と住民の役割とは?

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マンション購入者講習の提案:マンション管理組合への理解を深める

 
 
マンション購入時には、新築・中古を問わず「購入者講習」の受講を必須化してはいかがでしょうか。購入時にマンション管理やその課題について基本的な知識を身につけてもらうことで、入居後の管理組合活動に前向きに参加しやすくなり、マンション内の調和が保たれると考えられます。また、購入段階で理解を深めることで、管理組合内でのトラブル予防にもつながるでしょう。
 
マンションの管理組合では、「管理組合活動に非協力的な住民がいる」「理事のなり手が不足している」「住民間でトラブルが発生している」「管理費の滞納や規約違反行為が見られる」といった問題が頻繁に起こります。管理組合はマンション全体の維持管理を適切に行うため、区分所有者が協力して運営する組織ですが、こうした問題があると運営が円滑に進まず、トラブルの原因となることが少なくありません。そこで、購入者講習を通じて購入者がマンション管理の役割や重要性を理解することで、入居後のトラブルや負担の分担がスムーズになり、管理組合の活動もより円滑に進むことが期待されます。
 
マンション購入時に購入者研修を
 
2022年12月に株式会社トナリスクが行った「マイホームをマンションにした理由ランキング」によると、マンションを選ぶ理由として次のような結果が出ています。
 
1. 戸建てよりセキュリティがよい(58.9%)  
2. 建物や庭の管理・メンテナンスがラク(54.8%)  
3. 駅や勤務地に近い(46.4%)  
4. 戸建てよりもコストが安い(29.9%)  
5. マンションが好きだから(18.9%)  
6. マンションの方が環境がよい(17.9%)  
7. 戸建てより価値が下がりづらい(15.1%)  
8. 一人暮らしのため(6.9%)  
9. よい戸建て・土地がなかった(6.3%)  
 
<出典>PRTIMES  
株式会社トナリスク 【マンションを購入した約500人に調査】マイホームを「マンション」にした理由ランキング発表!  
 
これらのうち、「管理・メンテナンスが楽」「戸建てよりもコストが安い」といった意見には注意が必要です。確かに、管理会社と契約しているマンションでは、庭や建物のメンテナンスを個人で行う必要はありませんが、これは区分所有者が管理費を負担し、管理組合が管理会社と契約しているからこそ成り立っています。この仕組みを理解せずに「管理会社がすべてやってくれる」と思い込んでいると、入居後に管理活動への参加や協力を求められた際に不満を感じたり、トラブルの原因になりかねません。
 
 
一般的なマンションでは、管理組合の理事が管理会社の業務を確認し、適切な管理運営を行っています。住みやすい環境を保つためには、区分所有者が理事や委員として活動に協力し、総会などに積極的に参加することが不可欠です。「マンションはホテルのように快適に暮らせる場所」というイメージは、一部の高級マンションに限られ、一般的なマンションでは区分所有者同士の協力があってこそ快適な生活が成り立っていることを購入者には理解しておいてもらうことが重要です。
 
具体的に、マンション購入者には、以下の項目について最低限の理解を持ち、管理組合の一員として協力していただきたいと考えています。
 
1. マンション管理の基礎知識を深めること  
マンション管理には特有のルールや仕組みが存在するため、区分所有法や管理規約に関する基本知識を習得することが重要です。管理規約には、共用部分と専有部分の区分や維持管理の責任範囲が明確に定められています。この違いを理解することで、区分所有者間の誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。また、理事会や総会の役割、建物の維持管理、長期修繕計画についての知識を持つことで、管理組合の運営方針や決定事項をスムーズに理解することができるでしょう。特に修繕積立金の重要性について学ぶことは、建物の長寿命化や資産価値の維持に直結するため、区分所有者全員にとって欠かせない知識です。管理組合が適切な判断を下せるよう、基礎知識を共有することがマンションの調和ある運営に寄与します。
 
2. 管理組合への協力意識を高めること  
マンションの維持管理には、すべての区分所有者が協力する姿勢が欠かせません。将来的には理事会や管理組合の活動に直接関わる可能性があるため、共用部分の維持管理に対する理解と意識を高めることが求められます。特に、総会での議案の決議には積極的に参加し、自身の意見や視点を共有することで、マンション全体の運営に貢献する姿勢を持つことが望まれます。こうした協力意識が区分所有者間で共有されることで、理事会にかかる負担が一部の区分所有者に偏ることが防がれ、より多くの人がマンション管理の課題に関わることで、課題解決のスピードや質が向上します。区分所有者一人ひとりが協力意識を持つことが、マンションの健全な運営と住環境の向上に大きく寄与するのです。
 
3. 建物の長寿命化や建て替えに対する理解と計画性を持つこと  
マンションの資産価値を維持し、長期的な居住環境を守るためには、建物の定期的なメンテナンスや修繕が欠かせません。また、将来的には建物の老朽化が進行し、建て替えや解体、さらには土地売却の検討が必要となる可能性があります。こうした局面においては、区分所有者それぞれが一定の自己負担や損失を受け入れる覚悟も必要となります。そのため、資産価値の維持や資産運用の視点を持ち、長期的な視野で計画を立てることが重要です。これにより、区分所有者全員が現状の生活だけでなく、将来のリスクや投資についても考えるきっかけが生まれます。さらに、適切な管理を実行するために、管理組合が信頼できるパートナーと協力し、適切な資金運用や建物管理を行える体制を整えることも重要です。
 
 
マンションは多くの区分所有者が共有する財産であり、購入者が適切な知識を持つことによって、みんなで守り、安心して暮らせる環境が実現します。購入者講習を通して、最低限の知識や意識を身につけてもらうことは、マンション生活をスムーズに進めるためにも有効です。講習を受けずに入居した場合、入居後の管理組合活動に支障をきたす可能性が高まりますが、それは悪意があるというよりは知識不足によるものです。
 
そうしたトラブルを防ぐためにも、マンション購入者には講習で学んでもらい、購入後に管理組合の一員として役立ってもらう必要があります。そうでなければ、管理運営の重荷が一部の区分所有者に偏ることになり、不公平感が募り、区分所有者同士のトラブルの原因にもなります。
 
 

 

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