マンション管理異常事態「管理組合が悪いの?」

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こんにちは!事務所が渋谷にある渋谷貴博です。

週刊「東洋経済11/13・マンション管理異常事態」を読みました!

2021年11月13日東洋経済

同誌は、マンション、住宅問題をわかりやすく読者へ発信し、特にマンション管理業界という、ブラックボックスを世の中に開放し、様々な問題を浮き彫りにしてくれます。

大手新聞、TV、ネット、雑誌では取り上げてくれない、このような国民生活の実態を、ぜひ他のメディアにも、もっと取り上げて欲しいですね。

もちろん、記事や表現内容に対する評価は読者様々あると思います。しかし、「こういうことが起こっている」ということを、例えば今回でいえば管理組合、住民、マンション購入検討者、住宅業界関係者(団体含む)、そして行政(国交省)に知って欲しいのです。

そこから、なんらかの反応や動きが生まれ、改善へとつながるはず!

これまでのマンション管理と状況が変わった!
今回サブテーマで「管理会社がマンションを選ぶ時代が来た」とあり、管理会社がマンションの選別をする、主な3つのポイントについて書いています。

1.利益が出るマンション
当たり前のことですが、管理会社も企業として利益をあげなくてはなりません。しかし、今まで管理会社は、利益を度外視してでも、管理戸数(売上)の拡大を最優先してきました。それにより経営難に追い込まれたのです。採算の取れるマンションだけに厳選せざるをえない状況になったとありますが、普通の企業活動を行うようになったということではないでしょうか。管理組合は面を食らってしまいますが。

2.手間がかからないマンション
管理組合や住民が、「マンションはホテルライク!」と勘違いしてきたこともあり、管理会社の社員や管理人を手足のように使う。管理会社にとって管理組合は、やりたい放題・言いたい放題で、手間がかかり、管理業務に支障が生じています。

3.カスタマーハラスメントのないマンション
「マンション管理組合や住民の対応で、病気になって辞める社員が多い」1社ではなく、かなり多くの管理会社で同じような話しを聞きます。

管理現場の最前線にいる管理会社フロント社員は、一人あたり5~10件のマンションを担当します。中には15件担当している管理会社もあります。各マンションの管理組合理事会は、理事たちの仕事がない平日夜や土日休日に開催されます。フロント社員の勤務時間は不規則かつ長時間となり疲弊します。

さらに、管理会社が全部やってくれると勘違いしている管理組合・住民たちが、フロント社員に無理難題を押し付けたり、文句を言ったり、怒鳴ったり、カスタマーハラスメントが、ここ数年どんどんひどくなっているそうです。

●管理会社の社員の健康を守ることはマンション業界の重要な課題です。このままでは働き手が不足し、管理会社は機能不全となり、結果、管理組合の機能不全につながってしまいます。

会議室

力関係が逆転してしまった
平成に入ってからの約30年間で、管理組合の力は管理会社に対して大きく優位になっていきました。
「管理組合の言うことを聞かないなら管理会社を変える」と管理組合の無理が通る状況が長く続いてきました。

その状況がここ数年で逆転し、管理組合は管理会社から選ばれる弱い立場になったと記事にあります。

健全な状態へ向かう!?
同誌のテーマにある「マンション管理異常事態」は、管理組合にマイナスと捉えられがちですが、私は逆の見方をしています。管理組合にとっては、健全な状態に生まれ変わるチャンスではないでしょうか。

今まで、マンション購入者は、マンションデベロッパーの新築マンション販売戦略で、「マンションはホテルライクで便利、何もしなくていい」と、誤認識させられたまま、間違った管理組合活動を続けてきてしまったのです。

管理会社に対し、何でもお願い(依存)してきたことで、管理組合は自立できず、何もできない状態となり、今回のような「マンション管理異常事態」記事に、慌てふためいてしまうのです。

生まれ変わりましょう!
管理組合の皆さん、このまま管理会社の受け身になって右往左往するのではなく、「自立する」ことが大切です。つまりそれは、いつ管理会社から契約解除通告をされても、その後、「管理組合が自ら次のステップに切り替えていける力を持つ」ことです。

「自立」は、大きく分けて3つ

1.実力の自立:自主管理 
管理組合自身で管理会社の代わりに管理運営ができるような状態になる。管理会社とは縁を切って、経費削減と、独自方針で管理運営を進めていく。

2.精神の自立:中堅、地場管理会社へ管理会社を切り替える
これが一番現実的だと思います。今までの大手管理会社フルコースの管理委託をやめて、優良な中堅、地場管理会社を見つけ、「管理組合の信頼できるパートナーとして関係構築を図る」のです。

もちろん管理委託契約の内容や詳細な業務内容も明確かつスリム化する必要があります。
例(1):効率的な会議運営で管理会社の拘束時間の短縮化を図る。
例(2):管理会社ではなく、専門業者へ直接業務発注する。
例(3):全区分所有者に対し、ホテルライクの管理から、一般的な管理業務委託をしっかり認識してもらう。委託業務の条件は明確に限定されていること。それ以外の依頼は理事会へ相談すること、管理会社や管理人に対するカスハラ禁止など、区分所有者の啓蒙を行う。その他たくさんあります

3.お金の自立:大手管理会社に委託
お金に余裕がある管理組合は、大手管理会社にぜーんぶお任せする。まさにホテルライクなサービスを受けることを選択してください。管理組合の多少のわがままも管理会社が対応してくれるでしょう。

横断歩道通行人

「でも、管理組合が悪いの?」
本コラムのテーマです。

上記のように管理組合の「自立」は必要です。しかし、なんか違和感があります。

こうなってしまったのは、管理組合が悪いのでしょうか?違うんじゃないでしょうか。

マンションデベロッパーが、新築マンションを分譲するときに、マンション購入者に対し、区分所有者としてのマンション管理に関する知識(専有部・共用部の違い、関連法律関係概略他)や入居後の管理組合活動を詳しく説明してこなかったからではないでしょうか。

新築業界が「売り切り」型で、「マンション管理組合活動」をないがしろにしてきた!

購入者は詳しいことは知らないまま、引渡しを受け、住み始め、無知な住民どおしの管理組合活動が始まり、「管理会社の思いのまま」(実はマンションデベロッパーが販売時に管理会社を決めるので責任は大きい)に操られてきた。

そうやって、長い間、デベロッパーたちが優位な状態で進めておいて、ここにきて、管理組合にメリットが無くなったらからと言って管理委託契約の解約を迫る。

マンションデベロッパー、管理会社の進め方に、大きな要因があったのではないでしょうか。

悩ましい問題

つまりは、それら事業者のルールを作る立場の国交省が、マンション購入者や、その後の管理組合に対して「マンション管理に関する知識・意識のレベルアップ制度ルール化」の取り組みを行うべきではなかったか?ということです。

一般のマンション購入者や区分所有者や理事たちは、
区分所有法、標準管理規約、マンション管理適正化法等を理解はできますか?
デベロッパー、管理会社、マンション管理士等に委ねるだけ十分ですか?

住宅産業は、日本経済を支える主要産業のため、国は新築マンション販売(売ること)を最優先し、購入者へのアフターケアは後まわしにされてきたことが背景にあります。

国や業界団体は、来春から管理計画認定制度(国交省)、マンション管理適正評価制度(管理業協会)を開始します。

「管理組合が管理運営や建物維持管理に対し、真剣に臨む良いきっかけになる」と、管理会社やマンション管理士の多くから聞く話しです。私もそう思います。

一方で、心配な点もあります。
認定制度や評価制度で、高評価を得ることができる管理組合は良いでしょう。しかし、高評価を得られない管理組合はどうなるのでしょう。

「弱者」の救済活動に注力を!
「高評価以外の管理組合」⇒「不動産マイナス評価」が浮き彫りに・・・

同制度は、不動産評価の点で「大きな問題」を抱えているのです。

高評価を得られないマンションは、不動産業者に売却査定価格を下げられ、資産価値低下となり→住民のモチベーション低下・売却転居→管理組合運営の停滞→修繕不能など。管理崩壊の速度を早めてしまう危険性があります。

高評価≠資産価値向上が「大きな問題」なのです。

なぜ「大きな問題」かというと、不動産であるマンションの資産価値とは、「供給側のマンション管理業界」ではなく、「需要側の不動産業界(中古マンション購入者含む)」が決めるからです。

「マンションは管理を買え」といいますが、不動産業界では、中古マンションの管理については、それほど気にしていません。どちらかというと、「管理運営は問題ないだろう」という前提で、過去の売買成約実績を基に、中古マンション価格を決めています。

つまり、管理計画認定制度やマンション管理適正評価制度で高評価の「中古マンション価格」は、不動産業界ではほぼ「±ゼロ評価」となるでしょう。

一方で、高評価以外のマンションに関して不動産業界は、「一般的な管理運営ができていない、リスクがあるマンション」だと「マイナス評価」をされてしまうのです。(減点評価)

資産価値向上には、マンション業界の制度改正だけでは片手落ちで、不動産業界の改革も必須です。

日本マンション管理士会連合会(会員:マンション管理士1600名・全国42団体)が既に進めている「マンション管理適正化診断サービス」(後述)は、不動産ポータルサイトのLIFULL  HOME‘Sが提供する「住宅評価サービス」と連携し、不動産業界改革を進めています。

https://www.homes.co.jp/mansion/management-evaluation/

日本マンション管理士会連合会は、LIFULL  HOME‘S以外に、日新火災海上保険とも連携しています。

https://www.nisshinfire.co.jp/special/mansion_management.html

マンション管理適正化診断サービスとは、マンション管理に関する各種評価基準を基に、一定の評価を受けたマンションは、日新火災海上保険の取り扱う「マンションドクター火災保険」の保険料が低廉化されるというものです。火災保険の保険料はここ数年大幅に上昇しており、管理組合にとって火災保険料の負担は管理組合運営に大きくマイナス影響を与えていました。

診断棟数:13,341棟(2021年6月末時点)※日新火災海上保険HPより

損害保険会社からマンション管理組合を見た場合、一定の評価がされたマンションは管理組合運営や適正な大規模修繕工事が実施されているため、漏水リスクなどが少ないと想定されるのです。(なるほど)

このように、マンション管理士団体、不動産ポータルサイト、損害保険会社が連携し、どんどん新しい改革を行うことこそが、これからの「マンション管理問題の改革」につながっていくのではないでしょうか。

マンション管理士に期待
私は今後、「管理組合に寄り添う唯一の国家資格を取得するプロ」である前述の「マンション管理士」(解説:専門知識をもってマンションの運営、大規模修繕等を含む建物構造上の技術的問題、その他マンションの適切なコンサルティング業務を行う。マンションの法的スペシャリスト。※ウィキペディアより抜粋)に期待をしています。

もう一つの強い味方
皆さんと同じ、マンション管理組合の方々です。マンション管理に関し、最初は何もわからない状態から、手探りで行動して、住民どおし仲間を作り、時間をかけて、マンションの改善を行ってきた先輩達です。業界関係者(事業者や団体)ではなく、同じ消費者・エンドユーザー仲間のアドバイスや情報はとても重要でためになる「宝物」です。

※今後のコラムで、続編としてお伝えします。

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国交省他への期待
その他、国交省は、デベロッパー・管理会社等に対し、新規のマンション購入者(初心者)へ入居後の説明対応や、現在管理受託中の管理会社と管理組合が管理委託契約の解除に関しトラブルとならないよう保護対策もお願いしたいです。

・新築マンション販売時の対応
新築マンション購入者に対し、入居後の住まい方・管理運営について、国交省が標準化した説明資料をもとに、十分な説明を行う制度化。 ※中古マンション購入者にも同様

・管理委託契約解約の対応
標準管理委託契約の解約に関する条文変更として、以下に変更等を行う。
1.解約の申し出は6か月前
2.解約する場合は、管理業協会が作成した管理業務引継ぎマニュアルに則って、適正に次の管理会社へ引継ぎを行うものとする。

これら以外にも、マンション管理組合のための施策はまだまだ必要です。当センターも積極的に取り組んでいくつもりです。

以上

ついつい気持ちが入ってしまい、長いコラムになってしまいました。
でも、本件はマンション業界の重要な課題です。当センターは今後も引き続き取り扱っていきたいです。

マンションあんしん推進センター

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渋谷貴博(しぶや たかひろ)
MAC:マンションあんしんセンター
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